教育学部は小学校や中学校、高等学校等で子どもたちの指導にあたる教員を養成する「教員養成系学部」と、実際の学校から離れて、教育のあり方やメカニズムを研究する「教育学系学部」の2つの種類に大別されます。
教員養成系学部では、各教科の内容、つまり小学校なら全教科、中学校、高等学校なら英語や数学など、1つの教科を深く学ぶ「教科専門科目」と、教育学、教育心理学、教科教育など実際の教育を進めていくにはどうすればよいかということを学ぶ「教職専門科目」を同時に学習して、教員として必要な資質と能力を身につけます。
教育学系学部では、教員養成が主たる目的ではなく、「教育学」「教育心理学」「社会教育学」などの各分野に分かれて、教育を1つの学問として研究していきます。
また、教員養成系学部には、前述の学校教育課程のほか、教員免許の取得を必ずしも必要としない「教養系/総合科学系」課程として、文系理系に渡る専攻もあります。
また、子どもたちを研究の対象とする児童学があります。この児童学では、教育と深く関わっていますが学校の枠だけに限定せずに、さまざまな視点から子どもと教育について研究します。
教育学部には、次のような学系・学科(課程)があります。
学系紹介
教員養成系
教員養成系には教育する子供に応じて、「小学校・幼稚園課程」、「中学校課程」、「特別支援教育課程」、「護教諭課程」の4つの課程ごとに区分されています。まず、教育に携わっていくためには、第一に子供が好きであることが重要ですが、子供の心理学・発達学、安全面や健康面の知識、各指導教科の専門内容等の論習得も必要であり、これらも学んでいく事になります。さらに、子供と関わるという実践も欠かせないので、いずれの課程でも、在学期間中には教育実習や養護実習が必須とされています。また現代の学校教育が抱えるいじめや家庭環境の変化などの問題も把握し、子供の心理面のケアにも適切に対処できることが求められます。
教育学系
教育学は教育の本質、内容、目的、方法、そしてそれらを取り巻く制度や行政などの様々な分野・問題を様々な視点で扱い、人とその心と社会の関係を考えることで、よりよい人材育成の在り方を研究しています。
例えば人の心理面を考慮して効果的な学習方法や心理的な悩みの指導方法などを研究する分野や、教育の歴史的背景や地域の特徴と過去の教育の在り方から、その教育の働き方について研究する分野などがあります。ここでいう教育とは学校教育のみならず、家庭における教育や企業内教育など学校外の教育や子供以外の教育も含み、様々な教育場面を想定して研究がなされています。教育は人から人へと知識や思想を伝播する活動であり、社会を維持・発展させる人々を育成する行いでもあります。したがって、知識や思想を正しくきちんと伝えるということが教育の目指す大きな目標と言えます。
名称 | 研究内容 |
教育哲学 | 教育の本質を探究したり、教育学そのものの学問的性格を研究する。 |
教育史学 | 教育の歴史について地域別に、または時代別に研究する。 |
教育社会学 | 教育と社会の関連性や、教育が社会にどのような機能を果たしているかを研究する。 |
社会教育学 | 家庭、企業内教育、マスコミの教育活動など、学校以外で行われる教育を研究する。 |
教育内容・方法学 | 学校教育の現場で何をどう教えるか、効果的な学習を行うための教育カリキュラムをどのように作成するかなどを研究する。 |
教育行政学・学校経営学 | 教育行政当局が教育についてどう指導していくかなどについて研究する。 |
教科教育学 | 各教科についてどんな教育カリキュラムを組んで、どのように教えていくかについて研究する。 |
教育心理学 | 幼児心理・青年心理などを研究する「発達心理学」、学習の行われ方、また効果的な学習法を研究する「学習心理学」、心理的な悩みの指導法を研究する「相談心理学」などからなる。 |
教養系/総合科学系
現在では、人類の文化が発展し、かつての学問領域の区別も意味を成さないようになりつつあります。それゆえ、学術を振興し、多様な教育に対応するためには、分野横断的な幅広い視点と知識が必要といえます。
ところが、教育学部では教員免許の取得を卒業要件として課しているため、教員免許の取得に重点が置かれるようになり、教員に求められる資質や人格形成が蔑ろにされる傾向にありました。そこで、新たに設置されたのがこの総合科学系の学科です。ここでは従来の教育学科のように教員免許の取得が必ずしも必要ではありません。卒業後は教員になる人もいますが、一方で、教員とは違った立場から教育にアプローチする仕事をする人もいます。たとえば、地域社会での生涯学習、生涯スポーツを指導する仕事や、グローバル化しつつある現代社会で異文化交流を推進する仕事に従事する人もいます。
児童学系
児童学は、児童と児童を取り巻く環境を研究対象とし、児童に関わる様々な課題を解決する方法を追究していく学問です。人生の出発点としての児童期の意味を、心理学・教育学・保健学・人間学など幅広い観点から研究します。児童学=教職というイメージがあるかもしれませんが、本来、教育の場というものは、学校の授業だけに限られているのではなく、家庭はもちろんのこと、児童館、博物館、キャンプなどの野外活動といったように、学校外でも子供たちが学ぶ場というものはたくさんあります。なので、「教育」を学校の枠だけに限定せずに、さまざまな視点から子供と教育について研究するところが特徴です。幼稚園教諭・小学校教諭・保育士などの免許や資格が取得できます。
児童学系で取れる資格
保育士
保育所や児童福祉施設において子どもの保育を行う者で、国家資格の一つです。保育所の入所を希望しているが、様々な理由で入所ができない、いわゆる待機児童が大きな社会問題となっている昨今、保育士の需要は高まってきています。今まで女性の仕事というイメージの強かった保育士ですが、男女雇用機会均等法を受けて男性の保育士も増えています。
幼稚園教諭と保育士の違い
幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省の所管です。幼稚園の先生は、幼児の健康管理から始まり、音楽、お絵かきなどの指導を行います。一方、保育士は、乳幼児の保育、保護者への保育の指導を行います。最近では、幼稚園と保育園を連携させた「認定こども園」も増えてきています。
児童学系が学べる学部学科
大学 | 学部 | 学科 |
お茶の水女子大学 | 生活科学部 | 人間生活学科 |
同志社女子大学 | 現代社会学部 | 現代こども学科 |
京都橘大学 | 発達教育学部 | 児童教育学科 |
京都女子大学 | 発達教育学部 | 児童学科 |
平安女学院大学 | 子ども教育学部 | 子ども教育コース |
神戸松蔭女子学院大学 | 人間科学部 | 子ども発達学科 |
神戸親和女子大学 | 発達教育学部 | 児童教育学科 |
神戸海星女子学院大学 | 現代人間学部 | 心理こども学科 |
甲南女子大学 | 人間科学部 | 総合子ども学科 |
帝塚山大学 | 現代生活学部 | こども学科 |
関関同立で教員免許状を取得できる学部学科(2017年入学生)
主要科目の教科の教員免許状を取得できる学部学科 ★下記は一例です。
大学 | 学部 | 学科 | 小学校教諭一種 | 科目 | 幼稚園教諭 | 特別支援学校教諭 | ||||||
英語 | 数学 | 国語 | 理科 | 社会 | 地歴 | 公民 | ||||||
関西大学 | 法学部 | 法学政治学科 | 中 | 高 | 高 | |||||||
文学部 | 総合人文学科 | ○ | ○ | ○ | 中 | 高 | 高 | |||||
経済学部 | 経済学科 | 中 | 高 | 高 | ||||||||
商学部 | 商学科 | 中 | 高 | 高 | ||||||||
社会学部 | 社会学科 | 中 | 高 | 高 | ||||||||
政策創造学部 | 政策学科 | 中 | 高 | 高 | ||||||||
国際アジア法政策学科 | 高 | |||||||||||
外国語学部 | 外国語学科 | |||||||||||
総合情報学部 | 総合情報学科 | 高 | 高 | |||||||||
社会安全学部 | 安全マネジメント学科 | 中 | 高 | |||||||||
環境都市工学部 | 都市システム工学科 | ○ | ||||||||||
エネルギー・環境工学科 | ○ | |||||||||||
システム理工学部 | 数学科 | ○ | ||||||||||
上記以外 | ○ | ○ | ||||||||||
化学生命工学部 | 全学科 | ○ | ||||||||||
関西学院大学 | 神学部 | 高 | ||||||||||
文学部 | 文化歴史学科 | 中 | 高 | 高 | ||||||||
総合心理科学科 | 高 | |||||||||||
文学言語学科 | ○ | ○ | ||||||||||
社会学部 | 中 | 高 | 高 | |||||||||
法学部 | 法律学科 | 中 | 高 | 高 | ||||||||
政治学科 | ○ | 中 | 高 | 高 | ||||||||
経済学部 | ○ | 中 | 高 | 高 | ||||||||
商学部 | ○ | 中 | 高 | 高 | ||||||||
国際学部 | 国際学科 | ○ | ||||||||||
人間福祉学部 | 社会起業学科 | 高 | ||||||||||
教育学部 | 幼児教育コース | ○ | ○ | |||||||||
初等教育コース | ○ | ○ | ○ | |||||||||
教育科学コース | 中 | 高 | 高 | ○ | ||||||||
総合政策学部 | 総合政策学科 | ○ | 中 | 高 | ||||||||
都市政策学科/国際政策学科 | 中 | 高 | ||||||||||
理工学部 | 数理科学科/情報科学科/人間システム工学科 | ○ | ||||||||||
物理学科 | ○ | ○ | ||||||||||
化学科/生命科学科/先進エネルギーナノ工学科/環境応用化学科/生命医化学科 | ○ | |||||||||||
同志社大学 | 文学部 | 英文学科 | ○ | |||||||||
国文学科 | ○ | |||||||||||
上記以外 | 中 | 高 | 高 | |||||||||
社会学部 | 教育文化学科 | 中 | 高 | 高 | ||||||||
上記以外 | 中 | 高 | ||||||||||
法学部 | 中 | 高 | 高 | |||||||||
経済学部 | 経済学科 | 中 | 高 | 高 | ||||||||
商学部 | 商学科 | 中 | 高 | 高 | ||||||||
政策学部 | 政策学科 | 中 | 高 | |||||||||
文化情報学部 | 文化情報学科 | ○ | 中 | 高 | 高 | |||||||
理工学部 | インテリジェント情報工学科/情報システムデザイン学科/電気工学科/電子工学科/数理システム学科 | ○ | ||||||||||
機械システム工学科/エネルギー機械工学科/化学システム創成工学科 | ○ | ○ | ||||||||||
機械分子・生命化学科/環境システム学科 | ○ | |||||||||||
生命医科学部 | 医生命システム学科 | ○ | ||||||||||
上記以外 | ○ | ○ | ||||||||||
心理学部 | 心理学科 | 中 | 高 | |||||||||
グローバル地域文化学部 | グローバル地域文化学科 | 中 | 高 | |||||||||
グローバルコミュニケーション学部 | 英語コース | ○ | ||||||||||
立命館大学 | 法学部 | |||||||||||
産業社会学部 | 子ども社会専攻 | ○ | ||||||||||
上記以外 | 中 | 高 | 高 | ○ | ||||||||
国際関係学部 | 中 | 高 | ||||||||||
政策科学部 | 中 | 高 | ||||||||||
文学部 | ○ | ○ | 中 | 高 | 高 | |||||||
経済学部 | 中 | 高 | 高 | |||||||||
経営学部 | 中 | 高 | 高 | |||||||||
理工学部 | 数理科学科 | ○ | ||||||||||
物理科学科 | ○ | |||||||||||
情報理工学部 | 全学科 | ○ | ||||||||||
生命科学部 | 全学科 | ○ | ||||||||||
総合心理学部 | 総合心理学科 | 高 |