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工学部ってどんな学部?

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工学系の各学科では理学の研究成果を利用し、人間社会を豊かにするための技術や製品を開発する研究がなされています。つまり、理学では現在利用されている原理的・基礎的分野から新たな技術の可能性を切り拓く研究が行われているのに対して、工学では現在実用されているものをより一層実用的・応用的にするための研究が行われているのです。社会の発展に伴って生じた解決すべき問題や要求される技術に対応するため、学問の種類や内容は複雑に分化し、他学部とは比べものにならないほどの研究分野が存在しています。あらゆる職業技術が専門化している現代社会では、工学の各分野において専門知識を持った人材がより必要とされることでしょう。もちろん工学部でも英語の知識は必須です。
以下、個別の学問分野として、建築・土木工学系、機械工学系、電気電子工学系、応用物理工学系、応用化学工学系、材料工学系、情報工学系をとりあげました。

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*横軸は研究の直接的な対象を表しています。
⇒物質的:物や物の構築
⇒システム的:物を動かす仕組み

学系紹介

建築・土木工学系

建築・土木工学系は、主に建築学、土木工学、環境工学の3つの分野に分けることができます。建築学は住宅や工場といった建造物の安全で機能的な構造や設計、建造などを扱い、その知識を元に建築計画や建築構法、建築施工などを行う分野です。土木工学では橋やトンネル、ダムなどの大規模に社会を支える施設の建設やその維持を扱う分野です。環境工学は環境にポイントをおいて地域計画や都市計画を行う分野です。
建築・土木の分野で対象となる構造物の種類は様々であり環境との兼ね合いもあるので構造工学、土質力学だけでなく衛生工学、上下水道に関する知識、さらには社会学のような文系的知識も活用できる総合的な分野です。

機械工学系

機械工学とは、機械技術者としての基礎を重点的に学ぶ学問です。具体的には、「4力」と呼ばれる、材料力学、機械力学、熱力学、流体力学を学び、その後、航空や船舶など様々な専門分野について学びます。機械工学では、自動車産業や重工業だけではなく、化学工業や電気・電子工業、印刷、建築など分野を問わず、ものづくりに携わる分野について学びます。他にも、航空宇宙工学では、航空機や宇宙機といった、空中や宇宙空間での機体を考えることになります。また、船舶・海洋工学では、海中や海上での構造物について考えることになります。いずれの分野でも卒業後は新しい技術を創造するパイオニアとして活躍する事になります。

電気電子工学系

電気電子工学は、エネルギー、制御システム、エレクトロニクス、通信の4つの分野に大別することができます。エネルギー分野では、主に電力を扱い、発電や送電などの電力工学の技術を身につけます。制御システム分野では、ロボットや電気自動車をはじめとする機械の制御を情報通信技術を用いて電子的に行う技術を身につけます。エレクトロニクス分野では、電子や光の科学技術を学びます。例えば、半導体デバイスを用いた情報処理や制御にかかわる技術を身につけ、さらに、新しいデバイスを作るため、半導体や絶縁体、磁性体などの研究も行われています。最後に、通信分野では、無線や光通信などの通信に必要なハードウェアに関する技術や、データを送信する通信方式やネットワークに関する技術を研究し、人間同士や人間とコンピューターとのコミュニケーションを支える技術を開発します。

応用物理工学系

近年の急速なコンピュータの性能向上や省電力化は物理学の賜物といえるでしょう。半導体素子の開発には量子力学的な知見が欠かせないからです。また、カーナビゲーションシステムも相対論補正なしでは正確さが損なわれ、ほとんど使い物になりません。物理学は我々の生活の中でいたるところに応用されているのです。このような華々しい応用につなげるには、基礎的な数学や物理学の理解が非常に重要です。それゆえ、応用物理学科では微積分、線形代数学、電磁気学、古典力学、現在のキーテクノロジーの基礎となっている計測、情報工学、光工学等の充実した工学系科目がカリキュラムに含まれています。やがて、学年が上がると、実験や演習で自分の持つ知識を応用する訓練を積み、研究室で先端技術の開発の一端に携わるようになり、企業等で不可欠の実践的な研究開発能力を養います。

応用化学工学系

応用化学科は、化学物質の正負の両面を根本から取り扱う学問であり、文明の発展や社会生活と密接なかかわりを持っています。例えば、私たちの身の回りでは、天然物から人工のものまですべて化学物質から成り立っており、人類の発展に大きく寄与してきた反面、環境問題、食品中の化学物質に関する問題などといった負の側面を考慮する必要があります。それ故、応用化学科では、化学は当然ながら物理学や生物学も併せて学ぶのが一般的です。また、景気によって輸送用機械、電気機器などの需要が変動しても、医・農薬品、食品、衣料品などを含む化学分野の製品は景気変動が少ないとされるので、化学系学科は就職に強いと言われます。さらに、日本の化学技術は、世界のトップレベルであるので、日本は、最先端の環境で、無限の可能性を秘めた若者がチャレンジする素地が整っています。

材料工学系

材料工学科には対象とする物質に応じた区分があります。金属工学では、材料工学の基礎ともいえる金属の研究をしており、強度が高く軽量な金属、形状を記憶する合金など様々な金属を開発してきました。金属をいかに環境に付加をかけずに精錬するかという問題も金属工学の範疇です。他にも軽くて強い炭素繊維やテレビのディスプレイに応用されている有機EL などを扱う有機材料化学、IT 技術に欠かせないセラミックス電子部品や抗菌防汚効果をもつ光触媒などを扱う無機材料化学などがあります。大学では、工学の基礎知識に加えて、物をつくるための基本的な材料の知識と考え方を身につけ、卒業後はさらなる高度な知識を求めて大学院に進学する人が多いです。中には、博士課程まで勉強し、専門性を高める人もいます。将来は大学や研究所の研究者、あるいは化学関連企業や機械・情報系の企業に就職することになるのが一般的といえます。

情報工学系

情報工学とは、主にコンピューターによる処理の効率の上昇や、処理のより有効な手段といったことのカギとなるソフトウェアの更なる改良・開発のための研究を行う分野です。またコンピューターそのものの性能を上げるために、ハードウェアについても学びます。その他生体機能の分析、測定を行い、脳科学や人間工学の側面から人工知能の関係を目指す試みもあります。ソフトウェアはひとりでこつこつと作るものと思われがちですが、ほとんどのものはグループで作成するので、他人と意見を交わし、協調性のある人が向いています。また、卒業生の就職先は、コンピューターメーカー、電気系メーカー、ソフトウェアメーカー、通信系会社が多いですが、IT は他の多くの分野でも必要とされるので自動車など各種メーカー、金融関係に就職する人も多く、情報工学科の生徒は就職に強いと言われています。

主要国公立大学学科一覧

大学 学部 建築・土木工学系 機械工学系 電気電子工学系 応用物理工学系 応用化学工学系 材料工学系 情報工学系
東京 大学 工学部 社会基盤学科 都市工学科 建築学科 機械工学科 機械情報工学科 航空宇宙工学科 システム創成学科 精密工学科 電気電子工学科 電子情報工学科 物理工学科 計数工学科 化学システム工学科 応用化学科 化学生命工学科 マテリアル工学科 機械情報工学科 電子情報工学科
東京 工業 大学 工学院   機械系 電気電子系       システム制御系 情報通信系
物質理工学院         応用化学系 材料系  
情報理工学院             情報工学系
環境・社会理工学院 建築学系 土木・環境工学系            
京都 大学 工学部 地球工学科 建築学科 物理工学科 電気電子工学科 物理工学科 情報学科 工業化学科 物理工学科 情報学科
大阪 大学 工学部 地球総合工学科 環境・エネルギー工学科 応用理工学科 電子情報工学科 応用自然科学科 応用自然科学科 応用理工学科 電子情報工学科
基礎工学部   システム科学科 電子物理科学科 電子物理科学科 化学応用科学科   システム科学科 情報科学科
神戸 大学 工学部 建築学科 市民工学科 機械工学科 電気電子工学科   応用化学科   情報知能工学科
海事科学部   マリンエンジニアリング学科 マリンエンジニアリング学科 海洋安全シス テム科学科   海洋安全システム科学科 グローバル輸 送科学科
大阪 市立 大学 工学部 建築学科 都市学科 機械工学科 電子・物理工学科 電気情報工学科 電子・物理工学科 化学バイオ工学科 機械工学科 電気情報工学科
大阪 府立 大学 工学域 機械 系 学類   機械工学課程 航空宇宙工学課程 海洋システム工学課程          
電気 電子 系 学類     電気電子システム工学課程 電子物理工学 課程       知識情報シス テム学類 (現代システム科学域) 情報工学課程
物質 化学 系 学類         応用化学課程 化学工学課程 マテリアル工学課程  
兵庫 県立 大学 工学部     機械・材料工学科 電気電子情報工学科   応用化学工学科 機械・材料工学科 電気電子情報 工学科
京都 工芸 繊維 大学 工芸 学部   (造形科学域)デザイン・建築学課程 (設計工学域)機械工学課程 (設計工学域) 電子システム工学課程   (生命物質科学域応用工学課程※ (生命物質科学域)応用化学課程※ (設計工学域)情報工学課程
岡山 大学 工学部     機械システム系学科 電気通信系学科   化学生命系学科   情報系学科
環境 理工 学部   環境デザイン工学科       環境物質工学科 環境物質工学科  
徳島 大学 理工 学部   社会基盤デザインコース 機械科学コー ス 電気電子システムコース   応用化学システムコース   情報光システム コース

★ここにあげたのは一例です。※ 2018年4月改組予定

主要私立大学学科一覧

大学 学部 建築・土木工学系 機械工学系 電気電子工学系 応用物理工学系 応用化学工学系 材料工学系 情報工学系
慶應 義塾 大学 理工学部 システムデザイン工学科 機械工学科 電子工学科 物理情報工学科 応用化学科   情報工学科
環境情報学部 環境情報学科            
早稲 田大 学 基幹理工学部   機械科学・航空学科 電子物理システム学科       情報理工学科 情報通信学科
創造理工学部 建築学科 社会環境工学科 総合機械工学科       環境資源工学科  
先進理工学部       応用物理学科 応用化学科   電気・情報生命工学科
同志 社大 学 理工学部   機械システム工学科 エネルギー機械工学科 電気工学科 電子工学科   化学システム創成工学科 機能分子・生命化学科   インテリジェント情報工学科 情報システムデザイン学科
関西 学院 大学 理工学部 都市政策学科 (総合政策学部) 人間システム工学科 人間システム 工学科 先進エネルギーナノ工学科 先進エネルギーナノ工学科 環境・応用化学科 先進エネルギーナノ工学科 情報科学科
立命 館大 学 理工学部 環境都市工学科 建築都市デザイン学科 機械工学科 ロボティクス学科 電気電子工学科 電子情報工学科       ロボティクス学科
情報理工学部             情報理工学科
生命科学部         応用化学科    
関西 大学 システム 理工学部   機械工学科 電気電子情報工学科 物理・応用物理学科     電気電子情報工学科
環境都市 工学部 建築学科 都市システム工学科            
化学生命 工学部         化学・物質工学科 化学・物質工学科  
京都 産業 大学 情報 理工 学部   情報理工学科         情報理工学科
龍谷 大学 理工学部   機械システム工学科 電子情報学科   物質化学科   電子情報学科 情報メディア学科
近畿 大学 理工 学部 社会環境工学科 機械工学科 電気電子工学科   応用化学科   情報学科
産業理工学部(福岡) 建築・デザイン学科   電気電子工学科       情報学科 電気電子工学科
工学部 (広島) 建築学科 機械工学科 ロボティクス学科 電子情報工学科   化学生命工学科   電子情報工学科 情報学科
生物理工 学部   人間環境デザイン工学科 医用工学科         生命情報工学科
建築学部 建築学科            
大阪 工業 大学 工学部 建築学科 都市デザイン工学科 機械工学科 電気電子システム工学科 電子情報通信 工学科   応用化学科   電子情報通信工学科
ロボティクス&デザイン工学部 空間デザイン学科 ロボット工学科 システムデザイン工学科 ロボット工学科 システムデザイン工学科       ロボット工学科 システムデザイン工学科
情報科学部             コンピュータ科学科 情報システム学科 情報ネットワーク学科
摂南 大学 理工学部 建築学科 住環境デザイン学科 都市環境工学科 機械工学科 電気電子工学科       電気電子工学科

★下記は一例です。

大学生の声

大阪大学 工学部 応用理工学科
N・Y さん

私は工学部の機械系の学科に所属しています。この学科では主に機械工学の基礎学問となる四力(機械力学・材料力学・熱力学・流体力学)と制御工学を学びます。この学科の主要な進路のひとつとして、自動車メーカーがあるので、あるメーカーで開発をしたいという夢をかなえるために私はこの学科を選択しました。一回生の間はこれらの専門分野について触れることはほとんどなく、高校範囲からより進んだ力学や、解析学、線形代数と呼ばれる大学数学を中心に学んでいました。二回生になると専門性が増し、前期では機械力学・材料力学、後期では熱力学・流体力学を中心に学びます。「学ぶ」といっても機械技術者にとって非常に重要であるこれらの学問はただ授業を聞くだけではありません。週二回の「座学」の他、実際に問題を解く「演習」、学んだ知識を実際に検証する「実験」も同時に進行していきます。つまり座学で学んだ内容が次の週の演習及び実験で現れるのです。これにより、毎週毎週新しい知識を確実に身につけ、使っていくことができるようになります。
専門的分野になることで内容は難しくはなりましたが、一回生の間は何に使われるのかもわからず勉強していた知識を、実際に物体の運動や変形の解析に用いることでよりはっきりと理解していくことが実感できますし、今学んでいることが将来に繋がるとはっきりとわかるので、やる気も感じることができています。
座学・演習・実験から成り立つと先に書きましたが、前者二つは高校時代、それ以前からやってきたことの延長であり、ただ内容が難しいだけです。しかし実験はこれまであまり真剣に取り組む機会がなかったのでとても大変です。恐らく多くの人がそうだと思います。実験をするだけならよいのですが、とにかくレポートが大変です。書き方がよくわからない上に、わかってもしっかりとしたクオリティで書き切ろうとおもうとかなりの時間を費やすことになります。さらに二回生になると、グループで実験をした後にレポートまでグループでディスカッションして作成する実験講義も始まりました。しかしこれらは将来的に研究・開発をする際間違いなく何度も行うことであるから、今のうちにその体験ができているのは非常に有意義であると感じています。
決して楽な学科・学問分野であるとは思いませんし、実際に勉強に費やす時間は増えている気さえします。さらに当然のことながら回りも同じ入試を合格してきたので、自分と同じかそれ以上に賢い人達ばかりです。切磋琢磨したいところですが、やはり抜け出て賢い人たちもいるので劣等感を感じることもあります。しかしその一方で非常に需要のある学問分野であるから、就職で困るといったことはほとんどなく、私の学校に関しては大半の学生が学校推薦で第一希望に就職できると学科だと言われています。これからも私も周りにおいていかれないように、そして夢をかなえるために学んでいこうと思っています。

京都大学 工学部 電気電子工学科
U・M さん

私は京都大学工学部電気電子工学科の2回生です。電気電子工学科と聞くと、電気、電子などの分野にしか進めないと思われがちですが、進める分野はそれ以外にも、情報、通信、制御、エネルギーなどの分野に進むことができ、またそれらを在学中に学んでいきます。
詳しい学科の紹介は、webサイトやオープンキャンパスにお任せし、今まで自分が何を学び、そしてこれから何を学んでいくのかを、私が分かる範囲で紹介します。
まず、1回生のうちは、専門分野に関する授業は少なく、数学、物理の授業が主になります。1回生の大学の数学は「線形代数]・「微分積分学」が主になります。「微分積分学」は、高校数学の微分積分を、より丁寧(厳密)に、より発展的にしたもので、高校数学の知識は、これらの基礎としてとても大事になります。
また、大学の物理は主にまず力学で、より厳密に、数学チックなものになります。ここでも高校数学の微分積分は大事であり、また、ベクトルの知識も生きてきます。もちろん高校物理は必須です。また、1回生のあいだにも、少ないとはいえ専門分野の授業があり、「電気電子回路基礎論」では、名前のとおり電気電子回路を解析するうえで大事な、フェーザという概念を学びます。フェーザは、電気回路に現れる、電圧や電流の微分積分を、便利な数学の公式を用いて、複素数に置き換えて分かりやすくしたもので、回路を考える上でとても大事になります。これらも、高校数学の微分積分、複素数平面が大事になります。また授業だけでなく、実験もあり、毎週数十枚にわたるレポートを出すのは大変でしたが、実験機器の使い方や、実験データの取り扱い方など、学べたものもたくさんあります。
2回生になると、専門分野の授業の数が増えます。電子回路や論理回路(コンピューターの基礎となります)、または半導体工学につながる、物性の授業もあります。そこでは量子力学の一端を学ぶことが出来ます。加えて、実験も専門性が増し、ある機能を実現する回路を設計しポスター発表でプレゼンしたり、プログラミングの授業で、流行りの機械学習を自ら実装し、数字の画像を自分のPCに学習させるといった、興味深い授業もあります。
そして3回生になると、ほぼ専門の授業になり、冒頭で述べた各分野に関することを専門的に学んでいきます。京大の電気電子工学科の特徴として、ほかの学科にあるようなコース配属というものがなく、4回生で研究室に配属される直前まで、冒頭の分野(電気、電子、情報など)に関する授業をすべて受けることができます。もちろん、単位が揃う範囲内では学ばないという選択肢もあります。
このように様々な分野に進むことができるので、私自身もどの分野に進むか決めあぐねており、2、3回生で専門の分野を学びながら、どの分野に進むかを決めていこうかと思います。

社会人の声

神戸大学 工学部 建築学科 卒業
K・Y さん

私は神戸大学工学部の建設学科にて建築学を専攻(現 建築学科)し、現在はゼネコンである鹿島建設(株)で働いています。職種は施工管理、いわゆる「現場監督さん」と呼ばれる職種です。何をするかというと、建物の設計図を読み込んで理解し、実際に工事現場で働く職人さん達に「どういうものをどうやって作るのか」を指示し、設計図に描いてある絵を現実の建物という形にしていくのが主な仕事になります。
1つの建物を建てるにあたって必要な仕事は、大きく分けて3つです。お客様のイメージを設計図にする人“設計者”、設計図を元に実際に建物を作る人“施工者”、建物が設計図通りにできているかを確認する人“監理者”。私はこの内の“施工者”にあたります。
設計者さんの描いた設計図の通りに建物を作る、一言でいえばただそれだけなのですが、これが大変です。設計図とはあくまで建物の「完成予想図」であり、そこには作る順番や必要な重機、仮の足場などは記載されていません。また、設計図自体も人が作るものなので間違いがあったり、設計図通りに作ろうと思うと作業スペースから物理的に不可能なこと等も多々あるのでチェックが必要な上、職人さん達に作業を指示するための「施工図」という設計図よりも詳細な図面を作図する必要もあります。設計図通りの建物を実現するためには、設計者さんと同等の建築・法律に関する知識を持って、時に設計図の問題点を設計者さんとやり取りし、どうすれば安全に・スムーズに工事が進むのかを考えて計画を立て、多くの職人さんと協力しながら計画通りに工事を進めることが不可欠です。
たとえばいま皆さんが利用している研伸館の建物、外壁に貼ってあるタイルや石(西宮校は縦ルーバーですね)のような外装材、これはどうやって取付したのでしょうか。一枚一枚職人さんが取付作業をするのであれば外側に人間が立てるように足場が必要でしょうし、大量の材料を高いところへ運ぶにはクレーンも必要です。しかし、内側から取付作業ができるように接合方法を変えたり、先に地面で外装材を取付してから設置したりして、足場なんて無しで工事をしたかもしれません。私たち施工者は、こういったことについて掛かる時間やお金、その作業が安全にできるのか、その作り方で出来たものは何年もつのか、など様々なことを考えて方法を決め実施するのが仕事です。他にも、たとえば扉があれば、床との間に2mmほど隙間があるはずです。隙間が無いと床を擦ってしまうからですが、設計図にはそんなことまで載っていませんし、窓を見れば、窓枠は壁よりも2~5mmほど出っ張っていて、壁紙と窓枠との境目にはゴム製のようなものがあるはずです。これは壁紙がめくれてこないための工夫ですが、こういったものも設計図には載っておらず、建物がより使いやすく長持ちするものであるために施工者が考えて施工図を描いて実現しています。
建物を作るのはとても大変ですが、自分の仕事の成果は毎日大きくなる現実の建物という形で現れます。工事が完了して建物が出来上がった時は、今までの苦労と目の前の美しい建物で泣きそうになるほど感動します。
皆さんの中で将来どんな仕事に就きたいか、すでに明確な人は少ないと思います。高校時代の私は、昔から工作とか絵を描くの好きだし、なんか格好良い建築とか作れたら良いなと思うし、くらいの気持ちで建築を専攻しました。大学時代に初めて建築を勉強して少しずつ本当に興味を持ち、図面を描くより手を動かす物作りの方が自分に合っているなと気づいて現場監督になり、今はより知識を求めて一級建築士の勉強をしながら毎日職人さんたちと一緒に建物を作っています。
皆さんも、まずは志望校に向かって毎日一所懸命に勉強してください。大学に入ってからは、机に向かう勉強以外にもやりたいことがたくさんあるでしょう。何にでも一所懸命に頑張っていれば、少しずつ自分の将来やりたいことや向き不向きも見えてくるし、頑張った成果や得た自信は絶対に無駄になりません。将来、自分の誇れる自分になるために、頑張ってください。